2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

谷口ジロー+久住昌之「孤独のグルメ」の新作(先々週号くらいのSPA!)

いや、おどろいた。これは新展開ではないかしら。すくなくとも、こういう話はこれまでになかった。五郎がなぜか砂丘を登っているという、意表外かつ謎めいた光景。ここから作品ははじまる。こんなマンガだったっけ?食事の場面は、いつもながらに美味しそう…

岩岡ヒサエ『オトノハコ』(講談社)

田辺きみは、新高校一年生。ある朝彼女は、すこしばかり、学校に早く着きすぎてしまった。下駄箱にたたずむ彼女の耳に、ふいにきれいに重なりあった歌声がながれこむ。ああ、合唱部の練習なんだな……ちょっとだけなら興味がある。でもわたしは、じぶんの声に…

河出文庫の『20世紀SF 1960年代・砂の檻』を買う。アンソロジー。愛着のある一冊だけれど、持っていなかった。冒頭から、4作目までの流れがいい。ゼラズニイ、エリスン、ディレイニーの勢いと才気。クラーク「メイルシュトレーム2」には、ショックを受けた…

中村明日美子『鶏肉倶楽部』(太田出版)

短編集。おもしろかった。華麗でスノビッシュな、倒錯行為のショウケース。どのはなしもさらりと読めてしまうけれど、工夫や趣向がこまやかにこらされている感じがした。楽しそうに描いているなー、というのが伝わってくるのがいいとおもう。『Jの総て』『…

アンリ・ボスコ『シルヴィウス』(新森書房)

こういうのが“好きな小説”。美的至福としかいいようがない。天上の音楽。本作は『マリクロワ』という作品の外伝として書かれたらしいけれど、訳者天沢退二郎の惚れこみゆえに、こちらが先に訳されてしまった。たとえば、泉鏡花の『春昼・春昼後刻』を偏愛す…

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「召された乙女」(荒俣宏・編訳『英国ロマン派幻想集』国書刊行会)

作者はラファエル前派の画家としても知られるが、これはかなり物語要素のつよい詩。昇天したばかりの乙女は、地上に残してきた恋人のことを忘れられず、焦がれる思いを断ちきることができない。黄金(きん)に輝く天国の垣にもたれかかり、下界を見下ろす彼女…