2017-01-01から1年間の記事一覧

山尾悠子「飛ぶ孔雀」(「文學界」2013年8月号・2014年1月号)

ハヤカワ文庫JAの『夢の棲む街』を読み了えたのは僕が19歳になった日の誕生日。それから幾らかの歳月も水のように流れたが、この人の作品を同時代的に読むことができるというのは僥倖というほかない。著者文芸誌初進出となる本作は、これまでの幻想小説的な…

ひとつの本を読みながらこころは「いま、ここ」を離れて同じ作家のむかしの本に向かっている。響き、におい、温度、そういったものを思い出しながら目の前の一冊とそれとなく比較している。思考している。あるいはべつの作家の作品が、錆びついた記憶の井戸…

佐々木マキ『うみべのまち』(太田出版)

読んだー。出たすぐ直後、ジュンク堂の難波店で著者サイン入りを買っていたもの。マンガ家としての佐々木マキ作品の軌跡を集成した、革命の熱い一冊であり、こういう企画を実現させてくれた太田出版に拍手を送りたい(オビ文・村上春樹)。収録作品の多くはす…