2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

2016年○月×日 自分が卒業した大学でtravel writingを講じているオーストラリア人のアナに手紙。この先生がやっている留学生向けの授業に、1ターム分混ぜさせてもらったのである。 池澤夏樹の詩集「塩の道」の中の一節を英語で紹介したい一心でつづったのだが…

飯田橋にある洋書/英語教材屋さんのNellie'sに行ったら、こんな本を見つけた。 「Science Fiction: A Very Short Introduction」。オックスフォード大学の人気シリーズ「Very Short Introduction」のうちの一冊。ジョナサン・カラーの『文学理論』の巻には大…

台北の「濃ゆい」マンガ喫茶「MangaSick」レポート

漫画喫茶+書店の役割を兼ねている台北のお店、MangaSick。うわさには聞いていたけどめちゃくちゃ濃いお店です。 日本の観光ガイドやネットなどでは「サブカル漫画」や「タコシェ的な漫画」を多く取り扱っているなどと紹介されていたりする(例:松田義人『…

「ユリイカ」特集:K−POPスタディーズ(18年11月号)。大和田俊之の論考的エッセイがタイトルからして面白い。というか、書き出しから飛ばしまくり。 ――――――――――――――――― 現在、私は職業的な危機を迎えている。これまでアメリカの音楽文化を専門に講じ、執筆も…

朱天心「古都」(国書刊行会)

初めに、川端康成の『古都』を小説の内部に大胆に取り込んでいるという紹介をどこかで見た。そのため、上巻が川端康成、下巻が朱天心によって書かれた『古都』という大きな一つの物語をイメージし、川端の読了後に手を休めずに読み始めた。 その選択は正しか…

ジェフ・ライマンによる日本SF宣伝のポスト

とあるきっかけで12月にジェフ・ライマン氏と少しだけやりとりをしたのですが、そこから派生して(?)ライマン氏が日本SFを宣伝してくれています。 以下、事のなりゆき。19年にダブリンで行われたワールドコンにおいて、星雲賞の授賞式と日本SFの紹介を兼ねた…

私たちの知らない所で日本文学の花は咲いている

・その1フィンランドのファッション誌「REVS」で高橋睦郎の特集(via ジェフリー・アングルスtwitter)。文脈が読めなさすぎて笑った。・その2ジェフリー・アングルスの協力で、アメリカ・ミシガン州のマイヤー野外彫刻館に多田智満子の詩を刻んだ石碑が建て…

○月×日 台北 金瓜石 台北のとある私立大学の、日本語学科の子2人に台北の観光地を案内してもらうことになった。この日の午前中三人が訪れたのは金瓜石というパワースポットで、九份へと向かうバスで九份に着いても降りずに、そのままさらに長いこと乗ってつ…

2010年に読んだ本のベスト(収穫)

※「2010年代に読んだ本のベスト」ではなく、「2010年という一年に読んだ本のベスト」 ジュリアン・グラック「狭い通路」 ハイナー・ミュラー「指令」 文月悠光「適切な世界の適切ならざる私」 粕谷栄市「世界の構造」 朝吹亮二「密室論」 アンドレ・ピエール…

小説のストラテジー♯

視覚的でありながら絵画では表現不可能な世界、絵画を超えた世界。 山尾悠子やシュオッブやボルヘスの小宇宙、ごく初期の荒巻義雄や(少し落ちるが)粕谷栄市のいくつかの作品。 これらは物語を展開させ推進させる動力を 必要としないし、相性が悪い。だから、…