2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

・BBC非英語映画ベスト100(柳下毅一郎ブログ「映画評論家緊張日記」)2018年にBBC Cultureが非英語映画ベスト100という大規模なランキングを行った際、1位は『七人の侍』だったが、柳下氏を含む日本の評者は誰ひとり投票しなかったということがなぜか印象に残…

阿部大樹、タダジュン『翻訳目録』

生まれて初めてパウル・クレーの天使画を見たときのような驚き。翻訳への興味からこの本を手に取る人が多いと思うけど、社会言語学への最良の入門書であるようにも見え、ことばの不思議さの探索へといざなう絵本として、中学生や高校生のような層にも読まれ…

The Future is Female

The winner of the Akutagawa prize for the first half of 2022, which is one of the most prestigious literary awards, has been announced recently. This award is given to new authors and therefore I hope that people abroad will not think this…

小説〈不完全〉方位

〈彼方〉へ向かっていく小説の傑作……ジュリアン・グラック「街道」/〈彼方〉から何かが到来する感覚の傑作……J・G・バラード「時間の庭」/〈落下していく〉感覚の傑作……ミルハウザー「アリスは、落ちながら」、ブッツァーティ「落ちる娘」/〈垂直方向に射出さ…

存在しない本 『書物の王国 天使』

「幻想文学」60号に掲載された、須永朝彦と山尾悠子の対談「天使と両性具有」。タイトル通り、天使や両性具有やさまざまなモチーフ、そしてもちろんそれにまつわる書物の話題に花が咲いているのだけれど、個人的に気になった箇所がある。 山尾 両性具有につ…

金井美恵子『軽いめまい』(講談社文庫)

www.ndbooks.com Polly Barton訳がイギリスではFitzcarraldo Editionsから、アメリカではNew Directionsから刊行なるということで(→Link:カバー装画が素敵!)、ネタバレありの感想をちょっとしたメモ程度に。※以下、ネタバレを含みます自分は4章「鳥の声」が…

Wow, this is clearly evidence of Japanese diversity in absorbing foreign food. A leading spice company in the name of SB, which has taken a great role in introducing semi-Indian style curry and rice to Japan some decades ago, has recently …

「誰かが私に言ったのだ」

『夜想』の山尾悠子特集で、沼野充義がたいへんに面白い指摘をしている。山尾悠子の 「誰かが私に言ったのだ 世界は言葉でできていると」 という二行の分かち書きのフレーズは作家の創作姿勢を明快に打ち出すものとして解されてきたが、『増補 夢の遠近法』…