ちょっと仕事がひと段落したので、(もう2年は経っちゃったけど)13年に出会ったもののうちから、これは収穫!と思えるものをちょびちょびアップ。
1.人生の贈り物
朝日新聞夕刊掲載の連続インタビュー企画。時の回廊を登りつめた賢人たちが、今という時代を快活に生きるためのメッセージを照射する。このエントリーをアップしようとしている15年現在も連載は続いているんだけど、とくにこの13年は、佐藤忠男、中井久夫といった荘厳な面々の含蓄にみちた言葉が感動的。
2.「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」
秩父を舞台にした群像劇アニメーション(なんて要約でいいんでしょうか)。ヘンに舌っ足らずの幽霊の女の子、十万石まんじゅう、ブーゲンビリア。野山を駆け回った少しばかりの記憶、歳月のもたらしてしまった、同学年のヤツらとのそこはかとない距離感。
そこまで面白い作品ではない、という意見をお持ちのかたもいることだろう。けれど、「この物語がどこに向かっていくのか、最後まで見届けたい」と思わされてしまうようなある切実さが、第一話には宿っていた(この主人公ヒキコモリなのに、なんでTシャツには西へ東へなんて書いてあンだ!?)。
恥ずかしながら、下巻だけ読み残していた。威勢良く放り投げられた物語のつぶてたちは、僕らの目の前を一瞬だけさっとかすめて、けれどそれでそこでおしまいではない。豊穣の礫(れき)は簡単にはアスファルトに着地しないから、永くこころに留まっているから、だから面白い。「遊戯の終り」「エロチック街道」「迷宮都市」あたりと胸を張って肩を並べられる、超短編集の精髄。
Kenzaburo Oeが勝ち取ったのは、ノーベルの平和賞ではない。人類の魂の救済の問題を衝撃的に描いたとして、栄誉ある文学賞を授与されたんだ。そんなふうに熱っぽく語りたくなるほど神話的な奥行きをもつ本作には、読み手の精神をガツン!と殴打する森の叫びとパルスが壮麗にも充ちあふれている。