衿沢世衣子『ベランダは難攻不落のラ・フランス』(イースト・プレス)

『シンプルノットローファー』!(単巻バージョンのほうが好き)『ちづかマップ』!読んでいてなぜかいつも心地よい気分にさせられてしまう衿沢さんの最新短編集。初めはタイトルを見て「どんな内容?」とか思ったのですが、それぞれの作品のタイトルをパッチワークっぽくつなぎ合わせたものなのでした。元幼なじみ高校生五人組(イギリスの男の子含む!)が織りなす群像劇「難攻不落商店街」が楽しすぎる。個性のツヨい子どもたちが関係性をくるくる変転させながら創り上げるハイテンションなコメディには思わず顔が緩んでしまいます。「シネマコンプレックス七変化」のチャプターが最高。

(自分も海外に少し住んでいたことあるのですが、ときどき衿沢さんの描くものの中には「英国的」な charm を感じることがあり。モスの家族がやってる「sudoku」って英語圏でもすごく親しまれていてその割に意外とみんな日本のものとは知らないで熱中していたりする。とか、細かいところにもつい反応したくなってしまうのですが、とにかく「難攻不落商店街」は傑作です)