飯田橋にある洋書/英語教材屋さんのNellie'sに行ったら、こんな本を見つけた。

「Science Fiction: A Very Short Introduction」。オックスフォード大学の人気シリーズ「Very Short Introduction」のうちの一冊。ジョナサン・カラーの『文学理論』の巻には大学時代にお世話になりました。邦訳は岩波書店から「一冊でわかる」というややヌルめのタイトルでシリーズ刊行されているけど、少なくともこのSFの巻は訳されていない。

原書のシリーズのほうは、縞模様の装幀がエレガントで、本屋さんの棚に並んでるのを見ると統一感があってすごく好き。そして、英語圏には日本にあるような意味での「新書」に完全に対応するものって存在しないから、こういうシリーズはこころみとして貴重。

中身はまだぱらぱら繰り始めた程度なんだけど、たとえばマーガレット・アトウッドについて、「Where Le Guin shows utopia to be an ultimate goal unreached in her novel, The Handmaid's Tale(1985) describes a fundamentalist theocracy achieved.」。こんな記述はやはり文学史家的という感じがする。

SF批評を紹介する項では、ディレイニー、ディッシュ、レムといった実作者によるものが意外にも(?)重視されているようにみえる。小説の日本での未訳作品については、とくにオクタヴィア・バトラーのXenogenesis三部作が個人的には気になりまくり。(2018)

 

Very Short Introductions: Science Fiction
David Seed
Oxford University Press (Japan) Ltd.
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