「牯嶺街少年殺人事件」

上映時間約3時間50分、2018年にデジタルリマスター版DVD発売。著名な批評家による言及をまたずとも映画史に刻まれることを運命づけられた、比類なき傑作。柔らかい光を浴びた子ども達がバスケットボールに興じる、ただそれだけの画面が美しすぎて泣いてしまう。近現代史の巨大な渦の中に小石としての少年少女を配置してみるこころみでもあると思うので、たとえば「外省人」「国民党政府」「国共内戦」といった台湾史の知識は理解に不可欠だと思う。そのための参考書として赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店)、(台湾関連本としては発行から少し時間がたっているが)田村志津枝「台湾発見 映画が描く「未知」の島」(朝日文庫)を挙げておきたい。(2019)