内田さんの著作(『ソムニウム夜間飛行記』などの画集含む)で一冊だけ読み残していたもの。
この短編集に収められている作品はどれも、アメリカ中西部イリノイ州にある「風の町」ゲイルズバーグを舞台としている。そのため、作者が表紙絵を手がけているハヤカワ文庫FT『ゲイルズバーグの春を愛す』を読んでいると微風のように微笑させられてしまうようなシーンも登場する。
いま、この場所から内田さんの作品群という山嶺をもう一度眺め渡してみると、自分の中では『草迷宮・草空間』が別格で、そこから少し落ちて『星の時計のLiddell』、残りの作品については等しく愛着を抱く、という感じ。今から初めて読めるという人がうらやましくて仕方ないです。(2020)