本に呼ばれたような気がして、鈴木いづみ『いづみ語録』や<鈴木いづみコレクション>(ともに文遊社)の眉村卓との対談を読み返す。

 松田青子『持続可能な魂の利用』(中央公論新社、2020年)において、「少女」という語に「美」がついて流通している現在の地球を、未来の少女たちが眺めて笑い転げるシーンがある。鈴木いづみが活躍していたのは主に70年代だが、すでにそうした状況を批評的に見つめていた気がする。

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鈴木 それから、SFに出てくる女性は、やっぱり男が書く女だなという気がするんだな。
(中略)それと、必ず美女がでてくる。SFは美女ばかり。
眉村 一番簡単だからだろうな。
鈴木 でも、世の中には美女というのは少ないですよ(笑)。どうしてこんなにポンポンでてくるのかと思って。
眉村 女性の絶対数が非常に少ない状況におかれていると、砂漠みたいなものだから、みんな美女にみえるんじゃないかな。
鈴木 みえるならみえると読者にわかるように書けばいいのに。美女だって断定してるんだもの。
(鈴木いづみ×眉村卓「SF・男と女」『鈴木いづみコレクション 男のヒットパレード』文遊社)
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