最近「え、この作品、英訳あるの?」と驚いたのが尾崎翠の「第七官界彷徨」。

「MONKEY」(英語版のほう)vol.1の巻末には、「Why hasn't this been translated?」という名の、未訳の日本文学について数人の翻訳家が紹介するコーナーがある。ここで尾崎翠第七官界彷徨」が取り上げられているのだが、公式サイトから目次だけを見た場合、未訳だと思ってしまうのは自然ななりゆきだろう。しかしこれ、紹介者も言明している通り、書籍のかたちで刊行されていないだけでReview of Japanese Culture and Societyという学術誌の27号(2015)に全体が訳出されている。だからこのWandering in the Realm of the Seventh Senseについては、「なぜこの作品は本のかたちで刊行されていないのか?」と言っているにひとしいわけである。