折にふれて聞く「オーストラリアでは選挙で投票をしないと違法になる」という文化の違いについてちょっと知りたくなって、竹田いさみ・森健・永野隆行編『オーストラリア入門』(東京大学出版会、第2版刊は2007)。「投票手続きを理由なしでおこたれば20ドルの罰金(本刊行時のデータ)」、「制度が導入された時には投票率が58.0%から91.3%に跳ね上がった」など興味深いデータが満載。しかし、オーストラリアではごく一部の例外を除き文字通りすべての候補者にひたすら「優先順位」をつけていくというシステムが採られていて(詳しい仕組みは本を参照)、これが結果として労働党保守連合の二大政党の維持、強化につながっているとの解説もあって面白い。やっぱり内側から眺めてからこそわかる問題点もあるはずで、「若者の投票率も低いんだし、日本も強制投票制にすればいい」という見方に同意できるかどうかはたぶん別の問題。

ほかに、オーストラリアは国土が広大で僻地が多いからこそ事前投票やリモート投票が整備されているという話などもなるほどと思ふ。