海をあつめる

とあるスカイプ中国語会話の先生(日本在住、日本語学校で学んでいる)のプロフィールを見ていたら、こんな部分が目に留まった。「日本の好きなところ」という欄があるのだけど、こんな風に記されている。

「日本の好きなところ:海が見えるところ」

特にどうということもなく通り過ぎてしまいそうな所だけど、瞬間、自分が思い出したのは最近読んだ本にあったこんな箇所だった。(『在日本 中国人がハマった!ニッポンのツボ71』潮出版社)

「内陸部の占める割合が大きい中国では、海は日常的な風景ではない。だから「海を見たの? どうだった??」「うーん、意外と普通だった」なんて会話をよく耳にする。」

「海ってどうだった?」。

ここから振り返ってもう一度先の言葉をみてみると、「海が見えるところ」というのは「海が見える場所」と「この国では海というものを見ることができるという事実」のふた通りに解釈できるような気がしてくる。「日本の好きなところ」という質問のことばの意味はふつうは「好きな場所」じゃなくて「好きな側面」ということだと考えられると思うのだけど、この人は中国では内陸部に住んでいて、大人になって日本に来て初めて海をみたのかな。そしてそういう人は、あんがい他にもたくさんいるのかな、などとなぜか大陸に想いをめぐらせてしまう休日の午後。