わずか一年の読書ではテーマが前景化しないので、2023~2024年というおよそ七百日に読んだ本の収穫。
それにしても、この頑迷な肉体!日に幾度となく自分の遅読ぶりに思いを馳せ、神を呪いたくなることもしばしばだ。でもそんなときは、詩人・批評家のSusan Stewartが自分の学生たちに向けて語ったことば、「詩の社会的な効用のひとつは読者の読む速度を遅らせることだ」ということばを思い起こして自分を慰めることにしている。
・★は別格で愛着があるもの
・新刊かそうでないかを問わず、該当する年に読んだもの
・刊行から4年以内のものは発行年も示す
・自分が編集した『jem』に収録されている作品や文章の類は外す(ただし再録は除く)
大江健三郎『同時代ゲーム』(新潮文庫)★
ケイト・ウィルヘルム『杜松の時』(サンリオSF文庫)★
ジャン・ジュネ『判決』(みすず書房) ★
小松理虔『新復興論』(ゲンロン) ★
Pemi Aguda Ghostroots(Virago, 2024)★
キム・チョヨプ、キム・ウォニョン『サイボーグになる』(岩波書店、2022) ★
残雪『最後の恋人』(平凡社) ★
残雪『黄泥街』(白水uブックス)
Samantha Harvey Orbital (Grove Press, 2023)
Rebecca Solnit A Field Guide to Getting Lost(Penguin)※邦訳あり
Ursula K. Le Guin Steering the Craft(Eighth Mountain)※邦訳あり
Ursula K. Le Guin “A Left-Handed Commencement Address”(Ursula K. Le Guin公式サイト)
アリエット・ド・ボダール『茶匠と探偵』(竹書房)
アレン・カーズワイル『驚異の発明家の形見函』(創元推理文庫、上下巻)
尾崎翠『ちくま日本文学 尾崎翠』(筑摩書房)※一部再読
鈴木いづみ『ハートに火をつけて!』(文遊社)
岡田利規「掃除機」(『掃除機』白水社、2023)
谷崎由依『鏡のなかのアジア』(集英社文庫)
円城塔『文字禍』(新潮文庫)
佐藤春夫「女誡扇綺譚」(『女誡扇綺譚 佐藤春夫台湾小説集』中公文庫ほか)
泉鏡花『草迷宮』(岩波文庫)
泉鏡花「化鳥」(『日本幻想文学集成 泉鏡花 化鳥』国書刊行会)
坂永雄一「小さなはだしの足音」(『カモガワGブックスVol.5 特集:奇想とは何か?』2024)
アンリ・ミショー『魔法の国にて』(『アンリ・ミショー全集4』青土社) ★
アンナ・ゼーガース「死んだ少女たちの遠足」(『世界文学全集 94 ゼーガース/A.ツヴァイク/ブレヒト』講談社) ★
ジーン・リース「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」(『あの人たちが本を焼いた日』亜紀書房)
パウル・ツェラン「山中の対話」(『パウル・ツェラン詩文集』白水社) ※再読
タチヤーナ・トルスタヤ「夜」(沼野恭子訳『魔女たちの饗宴 現代ロシア女性作家選』新潮社)※再読
フリオ・コルタサル「クロノピオとファマ」(『クロノピオとファマその他の物語』)※未訳
Rosario Ferré “The Youngest Doll” in Ann and Jeff VanderMeer(ed.)The Big Book of Modern Fantasy(Vintage)
Ogawa Yukimi “Perfect” in The Dark Magazine 2014年5月号
ルーシャス・シェパード「竜のグリオールに絵を描いた男」(『竜のグリオールに絵を描いた男』竹書房文庫)
フランク・オウエン「世界を渡る風」(「世界を渡る風」(那智史郎・宮壁定雄編『ウィアード・テールズ1』国書刊行会)
フランク・オウエン「折れた柳」(「FANTAST」24号)
野村喜和夫「戦後散文詩アンソロジー」(「現代詩手帖」2024年7号)
崎原風子『崎原風子句集』(海程新社)★
堀田季何『人類の午後』(邑書林、2021) ★
大滝和子『銀河を産んだように』(『「銀河を産んだように」などI・II・III歌集』短歌研究社、2024)★
平出隆『家の緑閃光』(書肆山田)※再読★
『山本陽子全集』第二巻 (漉林書房) ★
四元康祐『噤みの午後』(思潮社)
辻征夫『かぜのひきかた』(書肆山田)
ジャン=ミシェル・モルポワ『見えないものを集める蜜蜂』(思潮社) ★
ワート・ラウィー「詩とは反逆だ」(福冨渉note)
アイリーン・ニクリャナーン 「捕獲」(「英文学評論」2023年5月号)
リンゲルナッツ「全生涯」(安野光雅、森毅、井上ひさし、池内紀編『ちくま文学の森9 賭けと人生』筑摩書房)
「ユリイカ 特集:現代語の世界」(2022)
阿部大樹『翻訳目録』(雷鳥社)
阿部大樹『Forget it not』(作品社、2022)
栗田路子ほか『夫婦別姓』(ちくま新書、2021)
阿良田麻里子『世界の食文化 インドネシア』(農山漁村文化協会)
ニール・カミンズ『もしも月がなかったら』(東京書籍)
イ・ソンチャン『オマエラ、軍隊シッテルカ!?』(バジリコ)
金田理恵『ぜんまい屋の葉書』(筑摩書房)
山田参助『あれよ星屑』(1)~(7)(エンターブレイン) ★
伊藤重夫『ダイヤモンド・因数猫分解』(アイスクリームガーデン)
A ee mi『Platonic Love』(Paradice System、2023)
プラトン「アンドロギュノスについて」(『書物の王国 両性具有』国書刊行会)
和田忠彦×四元康祐「詩、小説、翻訳の向こう側」(「現代詩手帖」2019年10月号) ★
和田忠彦×四元康祐「シベリア経由、ヨーロッパ⇄東京」(「現代詩手帖」2020年2月号) ★
沼野充義「ルジェヴィッチ、あるいは生き残りの論理」(『世界文学論』作品社)
Binyavanga Wainaina“How to Write About Africa”(「Granta」)
橋本輝幸「私たちの相違と共鳴」(「文藝」2021年春季号)
伴名練「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡 第九回 稀代の幻想小説家とSF界をめぐって――山尾悠子(「SFマガジン」2023年10月号)
劉佳寧「魔窟訪問記」
内沼晋太郎、綾女欣伸編著『本の未来を探す旅 ソウル』(朝日出版社)
千葉文夫「パリのキューバ人 アレッホ・カルペンチェール」(『ファントマ幻想』青土社)
尹相仁+朴利鎮+韓程善+姜宇源庸+李漢正『韓国における日本文学翻訳の64年』(出版ニュース社) ★
クリス・ローウィー+今野真二「日本語表記のアーキテクチャ」(「未草」2023~2024年) ★
井上ひさし「振仮名損得勘定」(『私家版日本語文法』新潮文庫)
松浦寿輝「点の滴り」(『松浦寿輝詩集』〈現代詩文庫〉思潮社)
パトリック・オノレ「新たなるパラディグム」(『定本夢野久作全集』月報、国書刊行会)※再読★
パウ・ピタルク・フェルナンデス「スペインにおける日本文学の翻訳事情」(『多元文化』7号、早稲田大学多元文化学会)
ジェフリー・アングルス「詩史と同性愛の削除」(「現代詩手帖」2012年11月号)
梅木英治『最後の楽園』(国書刊行会)
・補遺 リファレンス性の強い書籍含め、通読はしていないが現在進行形で影響を受けているもの
the Times Literary Supplement Podcast
John Updike Odd Jobs(Random House)
John Updike More matter(Random House)
皆川博子『皆川博子随筆精華』1~3(河出書房新社)
山尾悠子『迷宮遊覧飛行』(国書刊行会、2023)
大名力『英語の綴りのルール』(研究社、2021)
大名力『英語の文字・綴り・発音のしくみ』(研究社)
海老島均、山下理恵子編著『アイルランドを知るための70章【第3版】』(明石書店)
伊藤亜人、大村益夫、高崎宗司、武田幸男、吉田光男ほか監修『韓国朝鮮を知る事典』(平凡社)
・映画
「祈り」(テンギス・アブラゼ監督)
「奇跡」(カール・ドライヤー監督)
「吸血鬼」(カール・ドライヤー監督)
「アンダーグラウンド」(エミール・クストリッツァ監督)
「はちどり」(キム・ボラ監督)
「ひなぎく」(ヴェラ・ヒティロヴァ監督)