シドニーには、ここに住む日本人のためのフリーマガジンのようなものがいくつかある。JENTA(ジェンタ)はそのうちのひとつだ。英字新聞みたいな外見なのだけど、日本語・英語両方の記事があるのが面白い。

ある日、そのジェンタの最新号を手に入れた僕は、SMASH!なる日本のマンガ・アニメのイベントが行われるのを知った。すでに回数を重ねている催しのようで、前回もずいぶん盛り上がっていたようだ(そのときの会場の様子の大きい写真がある)。コミケのように、同人誌の販売があるわけではない。けれど、メイドカフェ、カラオケ、コスプレ、声優ワークショップなど、さまざまなプログラムが用意されているようだ。

今回日本からのゲストとしては、声優の丹下桜三木眞一郎、そして……エヴァ○ゲ○オ○の宮村優子までが!?惣流・アスカ・ラングレー(not式波)を人生の師と仰ぐ者としては、この機会を逃す手はなかった。

しかし。運悪く、その号を手に入れた日には、すでにイベントは終了ずみ。……シドニーに来てそうそう、アスカに会いそこねたのだ。

この国とのシンクロ率、ゼロパーセント。英語の勉強にも身が入らない日々が続いた。時はうつろい季節はめぐり、するといつしかJENTAの次号が発行された。そこにはなんと、会場で収録されたみやむーの独占インタビューが掲載されていたのだ!おお、写真までついている。

彼女はじつは現在、この国、つまりオーストラリアのメルボルンに住んでいるのだという。そんなこと、まったく知らなかった。宮村優子のような横綱クラスの大物が、なぜ南半球のOTAKUイベントにまで?などと内心思っていたところもあったのだけど(失礼)、そういうことだったのか。

エヴァTVシリーズの初放映から15年あまり、みやむーは育児に忙しい二児の母で、親オーストラリア派でそして、こういうイベントにも来てくれるわけである。声優ワークショップの司会進行をつとめ、海外のOTAKUがアテレコ体験するのを手伝ったのだとか。

こんなおかしなエピソードも披露されている。

ジェンタ編集部 プライベートを含めて、日本ではできないだろうという体験、失敗談など楽しかった、あるいは困ったエピソードがあれば教えてください。

M 今はメルボルンに住んでいるので、仕事の関係で日本への行き来が多いんです。最初は入国カードの職業欄に「Housewifeが何でこんなに何回も行ったり来たりするんだ」って怪しまれたんですね。

ですから、それ以降「Voice Actor」って書くようにしてたら、今度は「Voice Actorって何やってるの? 見せて!」って(笑)。断って入国できないのも嫌だと思ったので目の前で日本語で「あんたバカぁ?」ってやったんですよ。

そしたら「どういう意味?」って聞かれて、まずいと思ったけど「You are stupidっていう意味だ」って言ったらものすごく変な顔されて…。その時はあせりましたね(笑)毎回、入国の再にやれって言われたらどうしようとびくびくしてます。

……うーん、指を突きつけながらでもしてやったんでしょうか。やったねアスカ!こんなとき俺、どういう顔していいかわからないよ!

追記
みやむーはインタビューの結びで、「日本人として頑張れるところは頑張って、一緒に日本文化を広めていきましょう。」と語っていた。後日、彼女の公式ブログをのぞいてみると、こちらの国の痛車を紹介するエントリーがあった。いわく、オーストラリアには痛車が二台だけあって、そのうちのひとつはアスカカー、もといアスcarなのだという。アスカをこんなに愛してくれてるなんてありがたいですねえ。