2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

高柳誠『都市の肖像』(書肆山田)

高柳誠。はじめに思潮社の〈詩・生成〉のシリーズで読んだ『高柳誠詩集』の、アナイス・ニン「技芸の冬(『人口の冬』)」の引用が強く記憶に焼きついている。愛すべきたたずまいのこの小さな本は、市庁舎、運河、天文台、競技場など名もないある都市の細部に…

2024年、3月。これまでもウクライナの人とは接する機会はあったのだけど、はじめてウクライナの青年を同僚に迎えて仕事をした。日本には7年住んでいる、と言っていて、その数字でウクライナ侵攻が始まる前に日本に来たのだとわかる。それからおよそ10日後、…

たった十八篇を収めただけの小さな詩集『孔雀船』は、大きな不幸と幸に縄のようにあざなわれてきた。 まず最初の不幸は、明治三九年(一九○六年)、はじめて世に送りだされたとき、その船出が題名のような華やかさには恵まれなかったことである。文語定型詩…

富士川 (略)だいたいラシュディを代表とするような小説というのが、どちらかというと魔術的リアリズムというんでしょうか、非常に強い物語性というものを中心に持っていて、そこにインドやイスラムの神話だとか伝説だとか、そういったものを結びつけていく。…

ジェレミーのいた空

ブラッドベリ編Timeless Stories for Today and Tomorrowで読んだ、ナイジェル・ニール“Jeremy in the Wind”。不可思議な淋しさと俳味がこころに永く残る、忘れがたい短篇です。いわゆる異色作家短篇系のアイデアストーリーとはどこかちがう味わいを感じまし…

三浦半島、2024春