2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

21世紀の残雪、のための

幻視の起爆力をそなえた唯一無二の作家、残雪。この短文では主にその評価の変容について、限られた知識しか持たない筆者なりに追ってみたい。 ・ふたつの世紀をまたいで 日本で『蒼老たる浮雲』の単行本が河出書房新社から刊行されたのは1989年。1980~90年…

アップダイクのエッセイ集More Matterより、アメリカ小説におけるユーモアの変遷について述べた文章(邦訳があるかは不明)。Secondly, the humor of Benchley and Thurber assumed a kind of generic American experience—white, Protestant, male, bourgeois…

マサチューセッツ工科大学出版局から2023年の10月に刊行されたJ・G・バラードの批評集、Selected Nonfiction, 1962-2007。Facebook上のグループ「J.G. Ballard」のDavid Pringleによる書き込みによると、およそ半数の文章は『千年王国ユーザーズガイド』と…

※記事の性格上、筆者が読んでいない本も(情けないハナシですが…)取り上げていますすぐれた選書とシックで上品な内装、すさまじい数のイベントで知られる台湾を代表する大型書店、誠品書店。この書店が毎月刊行している「書店誌」が「提案on the desk」だ。紙…

今、私は1933年に刊行された同人誌『文學(5号)』を開いている。たまたま立ち寄った鎌倉の古本屋で購入してきた。『詩と詩論』の後継誌として春山行夫が取りまとめた同誌には春山以外に安西冬衛、北園克衛、竹中郁、西脇順三郎、瀧口修三などの面々が詩やエ…