2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ここ7,8年くらいで話したポーランドの若者(あくまで個人的な推定では20代以下)のうち、詩人・シンボルスカの話題を振ってみて知らなかったひとはひとりもいない(といっても15人には満たないくらいの人数だけど)。ある時、「日本ではニンギョの翻訳が最近出た…

永田耕衣『しゃがむとまがり』(コーベブックス)

疑うべくもなく最高傑作。人類語で書かれていながら、半歩すでに人類語を踏みこえてしまっているようなところがある。俳人である著者の光源になっている西脇順三郎の代表作『旅人かへらず』中、二篇の詩に現れている「しゃがむ」および「まがり」のモチーフ…

MoMA Design Storeのグッズで、名画をゆるキャラ風(!?)にデフォルメしたコースター(左上はモネ)。荒巻義雄センセイがSNSをやっているかは存じ上げないが、ジェフ・アンダミア編のアンソロジーにも収録された傑作「柔かい時計」にかけてダリのコレをプロフ…

内沼晋太郎、綾女欣伸 『本の未来を探す旅 台北』(朝日出版、2018)。韓国編とあわせて、出版業界の人間に限らす、本をめぐる文化の違いや海外のブックデザインetc.に関心のある向きには強くオススメしたい。洗練された選書で知られる大型新刊書店・誠品書店…

ジェフ・アンダミア編のアンソロジーより、Musharraf Ali Farooqi “The Jinn Darazgosh”。恥ずかしながら、(幻想小説に限らず)パキスタンの小説というものそのものを読むのが生まれて初めて。秀作とは感じなかったけど、ざくろの木が作品のなかで大きな役割…

白山宣之『10月のプラネタリウム』(双葉社)

たった今ラストのページを読みおえ、頬を火照らせ、呼吸を整えながらこの文章をタイプしている。たとえようのないまばゆさを放射する、最高密度の作品集だ。もともとこの作家を知ったのは、「漫画に関するWebページ「OHP」」の芝田隆広氏の実兄でもある本田…

現代中国文学小屋残雪翻訳および紹介のパイオニアである近藤直子氏が、生前に運営していたサイトだけど、いまも多くの記事をWayback Machineで見ることができる。残雪の小説以外の文章には初めて触れたが、これは、「小説家による批評」などという言葉で要約…

「イギリス料理はまずい」という言葉は、多くの人が聞いたことがあるにちがいない。そこで考え始めるのは、「もし自分がイギリスに生まれていたら、どういう世界像や経験を持っていたか」ということ。外国の人と話すたびに、いつも「イギリス料理ってマズい…

イギリスから海を越えて、金井美恵子『軽いめまい』の英訳であるMild Vertigoをご恵贈いただきました。実験精神とたくらみにみちた金井文学が、世界にさらに広く普及していきますように。