2019-01-01から1年間の記事一覧

ジェフ・ライマン「征たれざる国」(中村融・山岸真編『20世紀SF 1980年代 冬のマーケット』河出文庫)

かつて「SFオンライン」というウェブマガジンがあった。SFマガジンとはまたすこし異なった編集方針で好きだったのだが、その中でも特にくり返し見ていたコンテンツが「20世紀SF全作品考課表」(特集「『20世紀SF』を読もう」内)。ずばりあの河出文庫の超巨大…

朝井リョウ「時をかけるゆとり」(文春文庫)

史上最年少で直木賞を受賞した作者の初エッセイ集。おもに大学生活のことがつづられている。電車の中で読んでいて、何度も爆笑させられてしまった。 冒頭に置かれている「便意に司られる」には「走れメロス」への言及があるんだけど、この第1章に宿っている…

「サラゴサの写本」

ルイス・ブニュエルが3回観直したという、迷宮的悪魔的構造の大長編の傑作(原作はもちろん世界幻想文学大系『サラゴサ手稿』)。騙りが騙りを呼ぶ白と黒の交響楽、手のひらから零れ落ちた物語の玉は天高く翔けてどこまでもどこまでも。 サラゴサの写本 [DVD] …