2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

樹木の顔は多くの場合上向きであり、処女林上を飛んだことのある人々が言うように、その美しさは俯瞰する者に向けられている。そして我々の風土の中で最も上を向いているのは松林である。松林の下を歩むとき我々の目が捉えるものは、老朽化して神経を絶たれ…

エルンスト・ユンガーとミルチャ・エリアーデが共同編集した雑誌「Antaios」について紹介しているページ(→Link(ドイツ語))。糸瀬龍さんにご教授いただいた情報によると、文芸作品と呼べるものは基本的にはなく(あっても散文はわずか)、哲学、宗教学、博物学…

I was born.

たしか、語学学校に入学してまだ間もない頃のこと。授業で使う教科書(ESLの教材)はどのページにもディスカッションのための質問ばかりで、スピーキングそのものを日本ではかいもく勉強してこなかった僕には「はあはあぜえぜえ」の毎日だった。その日のクラス…

The Best Short Stories 2022: The O. Henry Prize Winners(Anchor)より、Pemi Aguda“Breastmilk”。作者Pemi Agudaはナイジェリアの女性作家で、アフリカSFの年間傑作選に作品が採られながら国際文芸誌GRANTAにも登場、2022年にはいわゆる第一席は逃したもの…

世界文学とか海外文学というとなにやら難しそうなイメージをもつひともいるかもしれないけど、ムロージェク(ポーランド)の短編とか、サーデグ・ヘダーヤト(イラン)の「幕屋の人形」とか、もう呆然とするくらいの可笑しい話だったりする。「幕屋の人形」なん…