2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2021~2022年の収穫

前回同様(→Link)、この二年間で読んだものの収穫、ただし自分の専門に関わる本はすべて除く。自分が死んだら棺桶に入れてほしい書物を二冊だけ挙げると、『最後のユニコーン』を書いたピーター・S・ビーグルが「くやしい。僕は本書のような物語を書きたかっ…

悪訳はいつでも悪か?悪訳版チュツオーラを待望する

怪物的アンソロジスト、ジェフ・ヴァンダミアがナイジェリアの作家エイモス・チュツオーラに対しほとんど別格のような評価をしているのを目にした時、実を言うと少しだけ意外に感じた記憶がある。自分も以前読んで気に入ったけど、衝撃を受けたというような…

オノレ氏の奇妙な愛情

澁澤龍彦の傑作『高丘親王航海記』、今年の9月にフランス語版が出版されていたことを知る。訳者はベストセラーのマンガから『ドグラ・マグラ』までをフランス語に移し替えてきたベテラン、パトリック・オノレ。 個人的に面白いなと思うのは、英語圏でも『高…

ワールドカップ・クロアチア戦。何年もやりとりをしていなかったクロアチアの友人のことをふと思い出し、「両方のチームを応援しているよ」と深夜、家で試合を観ながらメッセージ。「仕事が終わっていないから、観られないと思う」と返ってきたのだけど、そ…

・コニー・ウィリス「わが愛しき娘たちよ」(『わが愛しき娘たちよ』ハヤカワ文庫SF)controversialな作品だと聞いていたので読んでみたら(SFマガジンのポスト・フェミニズムSF特集に掲載)、たしかに傑作ではあるんだけど、どういう所に作品の思想的な側面があ…