2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

海外文学レビュー&評論同人誌「カモガワGブックスVol.4 特集:世界文学/奇想短編」に論考ひとつ、コラムひとつを寄稿しました。11月11日の文学フリマ東京37 、ブース「カモガワ編集室」で頒布されるほか、通販(→Link)でも購入することができます。・「“新…

辛島デイヴィッド『文芸ピープル』におけるイースト・アングリア大学の文芸創作プログラムについて触れた箇所に、「イギリスではまだ他に文芸創作のプログラムがない時代(引用者註: 1984~1985年のこと)で、内容も伝統的な英文学のカリキュラムに近く、文学…

洋書を所蔵する図書館でみつけて「こんな本あるのか!」と驚いたのが、三島由紀夫と Geoffrey Bownasという方が共編したNew writing in Japanというアンソロジー(1972、Penguin)。目次には、稲垣足穂、高橋睦郎、吉岡実、塚本邦雄といった面々の名が(も)並ぶ…

泉鏡花をひさしぶりに読んでいる。いままで一度も出会ったことのない語彙や語法にみちているのに、告白すれば文法さえ不明な箇所も多いのに、彫琢され燦然とかがやく世界へ引き摺り込まれて先へ先へとページを繰りたくなるのが不思議で仕方ない。現代人がこ…

東大の現代文芸論の公式サイト、Internet Archiveを使えば去年以前のシラバス、つまり各科目の授業紹介をこっそりみることができる。多和田葉子の授業、「現代文学と多言語世界—精読と創作」の内容説明。 「1.小説の細部に身体ごと入り込んで、宇宙を旅する…

魂の文学の書き手は、後へは退けない「内へ内へ」の筆遣いで、あの神秘の王国の階層を一層また一層と開示し、人の感覚を牽引して、あの美しい見事な構造へ、あの古い混沌の内核へとわけ入り、底知れない人間性の本質目指して休みなく突進していく。およそ認…

イ・ソンチャン『オマエラ、軍隊シッテルカ!? 疾風怒濤の入隊編』(バジリコ)

BTSのメンバーが入隊することが大ニュースになるような世界で、韓国の軍隊のことが知りたくて手に取った一冊。もと軍人の若者がキツい軍隊生活のことをセキララにネット上で綴った本書は、書籍化するとすぐに韓国ではベストセラーとなったと訳者あとがきにあ…

ある日本文学研究者/翻訳家とやりとりをしていたら、大学の授業で倉橋由美子を教材として扱うことも検討したが、その作品の英訳の質から結果として択ばなかった、という趣旨の一文があった。自分はその作品がどの作品かも知らないし、よって日本語と英訳をく…

『日仏翻訳交流の過去と未来』(大修館書店、2014)。パトリック・オノレの文章によると、フランス出版界では、2007年以降、日本語が英語に次いで翻訳点数第2位の言語になっている。マンガの寄与が多いそうだけど、ドイツ語やスペイン語よりも上とは。なお、台…

『最後のユニコーン』で知られるピーター・S・ビーグルは、ラッセル・ホーバン『ボアズ=ヤキンのライオン』に「くやしい。ぼくは本書のような物語を書きたかったのだ」と最上級の賛辞を寄せた。そのホーバンは、ジョン・クロウリーについて、Crowley is one…