ジェレミーのいた空

ブラッドベリTimeless Stories for Today and Tomorrowで読んだ、ナイジェル・ニール“Jeremy in the Wind”。不可思議な淋しさと俳味がこころに永く残る、忘れがたい短篇です。いわゆる異色作家短篇系のアイデアストーリーとはどこかちがう味わいを感じました。マン島出身だとか、一時期伊藤典夫が集中的に読んでいたといったきれぎれの情報は入ってきましたが、その後単著を手に取ったわけでもなく、本国でいまも読まれているかなど気に留めたわけでもなく、そのままいつか物語のあらすじは忘れてしまいました。

数週間前、Times Literary Supplementのpodcastを聴いていたら、去年の9月の回がまるまるこの1922年生まれの作家を扱っていて驚きました。同性同名の別の作家がいるのかと思ったくらいですが、The Quatermass Experiment(1953)というSFテレビ番組の脚本で名を馳せているそうです。podcastの出演者はThe QuatermassがイギリスSF界に果たした役割は大きいと熱弁を振るっていますが、去年は70周年の上映イベントなども開かれたそうです。

また、気になりつつ読めていない本の一冊、『英国紳士、エデンへ行く』の作家マシュー・ニールがこのニールの息子だということも今回知りました。ナイジェルのほうはサマセット・モーム賞も受賞しているということで、興味がふくらんできます。