・フランク・オウエン「空を渡る老人」(『Downwind -高山直之譯詩集-』盛林堂書房)
もう10年くらい前からずっと読みたかった作家なので、いいタイミングで読めてよかった。一応筋立てとしては、幻想の中国を舞台に、花園の主である老人とそこを訪れる童子との交流を描く。などと要約できなくもないのだけど、作品の魅力は翻訳であることを忘れてしまうような文章の美しさと、そこから醸成される無風地帯のように静かなこの雰囲気なので、綺麗な小説が好きな人はまずは現物にあたってほしい。

作者フランク・オウエン(オーウェン)については、荒俣宏西崎憲が幾度か言及している。いわゆるひとつの、アメリカ文学史の a hidden gem to discover、でしょうか。