あるとき「大学の卒論で扱ったのはジェンダーSFだった」と人前でこぼしたら、「さまざまなSF小説にみられる女性像」を精査したのだと思われて、面白い誤解のされ方だなと感じたことがある。たとえば「海を見る人」「美亜へ贈る真珠」「たんぽぽ娘」といった作品における女性像は、素朴といえば素朴きわまりないだろう。ただそれと同時に、社会変革に向かって突き出す力をそなえたラディカルなジェンダーSFをも多く生み出してきた、ジャンル総体としての巨大さ、包摂性にはうたれる思いがする。



海老原豊氏の松田青子『持続可能な魂の利用』書評(→Link)。この小説における「おじさん」がパフォーマティブ(行為遂行的)な存在である、と指摘している箇所は示唆に富んでいると思う。