海外文学の選書眼ということでは畏怖してやまない知人のひとりと地方都市で会う。十代中頃にはもうジェイムズ・ブランチ・キャベルSomething About Eveを原書で読んでいるみたいな恐ろしい人。新幹線と私鉄に乗り継ぎ数時間ほど、駅で落ち合ったのは夜も更けた頃。

完全に話を合わせてもらうしか仕方がないのだけど、おたがいが読んでいてかつ肯定的な感想を交わした書物――ラッセル・ホーバン『ボアズ=ヤキンのライオン』、ケイト・ウイルヘルム『杜松の時』、ピーター・S・ビーグル、ジョルジュ・マンガネッリ「虚偽の王国」、アンナ・カヴァンジョイス・マンスール、伊良子清白『孔雀船』など。

実質的に薦めてもらった(と僕が勝手に思っている)本――ラッセル・ホーバンTurtle Diary(ヨーロッパを旅行しながら読んでいた、と感懐を込めて言っていた)、〈文学の冒険〉シリーズで刊行予定がありながら未訳のままのジョルジュ・マンガネッリ『センチュリア』(イタリアの作家だが英訳で読んだそう)、ヘンリー・ミラー『わが読書』、カール・ヴァン・ヴェクテンの書評、トマス・ディッシュの書評、コジンスキー『異端の鳥』、ピーター・S・ビーグル『風のガリア―ド』、ノーマン・スピンラッドBug Jack Barron、イエイツの詩など。これと別に強く薦めてもらった本があるのだけど、生きているうちに読めるかな、せめて読んでから死にたい。洋書である。