2012-05-10から1日間の記事一覧

アンリ・ボスコ『シルヴィウス』(新森書房)

こういうのが“好きな小説”。美的至福としかいいようがない。天上の音楽。本作は『マリクロワ』という作品の外伝として書かれたらしいけれど、訳者天沢退二郎の惚れこみゆえに、こちらが先に訳されてしまった。たとえば、泉鏡花の『春昼・春昼後刻』を偏愛す…

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ「召された乙女」(荒俣宏・編訳『英国ロマン派幻想集』国書刊行会)

作者はラファエル前派の画家としても知られるが、これはかなり物語要素のつよい詩。昇天したばかりの乙女は、地上に残してきた恋人のことを忘れられず、焦がれる思いを断ちきることができない。黄金(きん)に輝く天国の垣にもたれかかり、下界を見下ろす彼女…