阿部大樹、タダジュン『翻訳目録』

生まれて初めてパウル・クレーの天使画を見たときのような驚き。

翻訳への興味からこの本を手に取る人が多いと思うけど、社会言語学への最良の入門書であるようにも見え、ことばの不思議さの探索へといざなう絵本として、中学生や高校生のような層にも読まれてほしい、と感じる。

この本を読みおえたあと、「鵞和驢」の項を話題にしてすぐさま中国の友人と話すと、「じゃあ日本語には一文字の名詞が少ないの?」と考えたことのないような質問を無邪気にされて、とても面白かった。ほどけない問いをページをめくるごとに与えてくれるこんな本の続編が出たら、いくらでも読みたい。

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