ともに1930年代生まれの詩人、多田智満子や矢川澄子が「宇宙」ということばをもちいるその瞬間、読者をとり囲む宇宙は実際に鳴動するという気がする。サイエンスフィクションの作品の中には、単なる書き割りの宇宙も登場するかもしれない。世代は下り、雪舟えまのある種のテキストにもプリミティブな宇宙感覚が瀰漫していると思う。