中国の幻想文学研究者・翻訳家の劉佳寧さんによる「魔窟探訪記」

当誌『jem』創刊号では中国の幻想文学研究者・翻訳家の劉佳寧さんにインタビューを行いました。その末尾でも話題のある、web連載「魔窟探訪記(魔窟探访记)」。幻想文学に関係する方々の書斎、蔵書に取材する企画です。第1回は後藤護さん第2回は山尾悠子さん第3回は礒崎純一さんのもとを訪問(緑色の「阅读全文」を押せば全体が見られます)。

山尾悠子さんはかつて工作舎の雑誌「遊」に「今月私が買った本」という連載を寄せていましたが、「不世出の作家」とも言われたことのある山尾さんの御自宅まで実訪して写真に収め、このような驚異の記事を著してしまったのは劉佳寧さんが初でしょう。澁澤蔵書目録である『書物の宇宙誌』という本は刊行されていても、(それが完全なものでなくても)山尾さんの蔵書を記録するという発想はこれまでなかったはずです。一冊一冊大切に買い集めてきたに違いない、美麗な書物の数々に目を奪われます。

1970年代刊行の本などでも保存状態が良い本が多いのに驚かされます。山尾さんが2015年に書いたあるエセーで、森開社版のシュオッブ『少年十字軍』(1978年刊)について、「これはもちろん大事にして、白く美しく手元にある」と書いていますが、この言葉について誰よりも嬉しそうに言及していたのは他ならぬ森開社社主の小野夕馥さんでした(森開社ブログ参照)。

なお、上から数えて3~7枚目までの写真は、山尾さんの蔵書ではなく、倉敷にある古本屋・蟲文庫さんの店内の写真ですのでご注意ください。誤った推測などがSNS、インターネットを通じて流布すると迷惑がかかる場合もあると考え、勝手ながら記します。後藤護さん、礒崎純一さんの回もとても興味深いのですが、そうした話はまたいずれ。